ぱんぴっと! インタビュー記事

NPO法人学生人材バンク学生プロジェクト「ぱんぴっと!」。鳥取で活躍する魅力的な社会人へのインタビュー記事を掲載していきます。

「時間が経てば人間が一番変化する。人に合わせて内容を変えられる面白さが、事業の可能性になっていく」 うかぶLLC共同代表 蛇谷りえさん

 

 

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目次

[所属 名前]

うかぶLLC共同代表

蛇谷りえさん

 

 

 

 

  [インタビュアーからのひとこと]

既存のものにとらわれない、

考え方がとても豊かな方です。

「マニュアル」とか、「機械的」という言葉と

対照にいる方だなと感じると同時に、

豊かさとは何か考えるきっかけを

教わったような気がしました。

 

 

 

 

[職業・仕事内容]

Q.ご職業とお仕事の内容を教えてください。

 

A. 合同会社「うかぶLLC」の共同代表をしており、

主に「たみ」と「Y pub & hostel」の運営、

私は、鳥取大学やホスピテイルの

プロジェクト企画の運営、様々なジャンルの

方々とのイベント企画・運営をしています。

会社全体では、そのほかのメンバーが

さまざまなプロジェクトを担っています。

 

 

 

[その仕事を始められたきっかけ]

Q.なぜそのお仕事をしようと思われたのですか?

 

A.大阪で高校に通っていた時、

かっこいいお店がたくさんあって

周りには、絵を書いたり音楽をしたりする人が

いました。

 

当時は、その人たちが皆で個展を作っていた

ところにお客さんとしてアートギャラリーや

アートプロジェクトを見に行っていました。

 

でもその時は、「自分もつくりたい!」という

感覚はなくて、好きだなと思うところに

お客さんとして行っていました。

 

 

 

だけど段々、観客側では物足りなくなって

きちゃって。

物足りなくなって文句を言うっていうのは

良い状態ではないなと思っていた時、

自分でもやってみようかなと。

 

 

周りの先輩にも、やってみたらいいんじゃない

と言われ、いろんな人に教えてもらって、

やっていたら次第に仕事として

イベントの企画や運営をできるようになりました。

 

 

 

その経験から、2、3時間で終わるイベントではなく

目標やミッションに向かって継続的に活動する

「プロジェクト」の運営に興味がわくように

なりました。

 

 

はじめは場所にこだわらず

いろんな環境で活動していたのだけど、

「場所の強さ」ってあるなぁと思い、

2010年に瀬戸内国際芸術祭で

友人と初めて場所の運営をしました。

 

 

なぜ場所(宿)の運営かと言うと、

人を集めるのではなく、

人が集まっているところに興味があったんです。

 

 

アートやデザインだけじゃなくて、

食べ物や文化の違いなどのちょっとしたことでも

人は集まるし、何か1つ真ん中にあれば

こんなに盛り上がるんやなぁって気づきました。

 

それまでは、デザイン、アートに

自分が囚われていたけれど、

それでなくても良いという自由さを感じ、

宿の運営について考えるようになりました。

 

 

それから岡山で3か月半、場所(宿)を運営。

はじめは知り合いしか来なかったのが、

2ヶ月、3ヶ月経つと知り合いの知り合い、

知り合いの知り合いの知り合いが来て。

「誰やろう、この人」と思っても、辿っていけば

知り合いの知り合いだったりする。

 

その時に、「全くの他人と思っても

どこかでつながってるんや!」という感覚、

そして町のサイクル、

町の時間(祭りがあるから集まるなど)に、

「場所」って、事実・物体があることで

人が来たり関わったりする面白さがあるな

と感じたんです。

 

 

 

じゃあ、10年経てばどうなるんだろうと思い、

継続的にできるようにしようと鳥取で始めました。

 

 

 

 

[なぜ鳥取?]

Q.「場所の強さ」と仰っていましたが、

   なぜ鳥取なのですか?

 

 

A.どうなるかが予測できない、(私たちにとって)

余白がたくさんあるところに惹かれて。

 

 

大阪、岡山はだいたいどんな感じか、

どんな人が集まるのか、

生まれ育った町だったのでやりにくかったし、

観光地などで町のイメージが強いところでは

やりたくなかったんです。

 

 

どうなるか分からないところがいいなと思い、

湯梨浜を紹介してもらって「めっちゃいい!」

と思いました。

 

 

地元の人たちがただただ大事に住まわれていて、

でも何のゆかりもない私たちが入っていける

受け皿があるという感じと、

「制度や仕事によって受け入れられる」ではなくて

町の人が自然と個人的に向き合ってくれる・受け入れて

くれる、そういう振る舞いに感銘を受けたんです。

 

 

 

[お店のコンセプト] 

Q.うかぶLLCのコンセプトとは何でしょうか。

 

 

A.

・あたらしい風景を自由に見るための

 土台であり、舟である

・個人の持つ可能性を拡張することで、

 社会をいかに生きるか探求する場所である

・留まることなく、常に変化しつづける時間である

               (HPより引用)

共同体について書いていますね。

 

関わったからには、あなたの技術を

使いましょうよ、という感じ。

 

 

こういう組織体がなぜ存在するのか?

という問いは、

なぜ人間が存在するのか?

という問いと同じくらい、あまり意味はない。

 

 

ただ、せっかく生まれたんだし、皆で協力して

できない壁があるなら

自分たちの考え方を変えちゃおうという考えです。

 

 

自分らが作った舟にいろんなジャンルの人が

乗組員として関わることで、

みんなで見たことない風景をつくること。

 

 

同じ時間を過ごすこと、個人の能力を拡張して

プロジェクトを作ることが面白いんです。

 

時間が経てば、環境や状況も変わるけど、

人間が一番変化する。

結婚した、子どもができた、とか。

 

でも、できなくなったから終わり、

ではなくて、じゃあどうする?と考える。

 

 

たとえばSさんが辞めて、次入ってきた人に、

Sさんのレシピを渡せば同じ料理ができるんだろう

けど、そうではなくて、

今いる人の能力を生かせるものにしよう、

ないなら違うことしよう、って考えます。

 

人や時間が変わるから永遠に可能性が広がる。

 

「なくなった/変わったから終わり」、とか

「ゼロから何かをつくる」というより、

「あるものを変える」という考え方です。

 

 

うかぶLLCは、人に合わせて内容をどんどん

変えられる面白さ、楽しさがあるけど、

それが不安な人もいるでしょう。

 

だから、うかぶLLCでは、

マニュアル通りにする人ではなく

変化を楽しめる人が関わっているかな。

 

 

 

[行動に結びつくエネルギー]

Q.社会に対して、「怒り」はありますか。

 

A.はじめは、怒りで人は動くものだと思っていたし

怒りや違和感があったからやってきたんだなって

思ってたけど、でも、エネルギーって、

怒りだけじゃないなって最近は思います。

 

 

何かしら手を動かすことで「楽しい!」とか、

喜んでもらえたり、その先に笑顔があることで、

またやろうという気持ちになる。

怒りはわかりやすいけど、怒り続けるのは疲れる。

楽しさや喜びの方が続けられる。

 

 

あえて言うなら、脱力・切実かな。

自分の暮らしがあって、

でも皆と関わらないと生きていけないから

どうしたらいいかなっていう切実さ、

その壁を超える感覚が続いている感じ。

 

 

「変えてやる」という怒りや頑張りではなくて、

もう少し脱力した受け身な感じ。

 

 

でも、世界に対して全て受け入れると

自分の中に嘘ができるから、

個人的な出来なさと大きな困難を

どうやったら乗り越えられるか。

 

「じゃあどうしよっかな」って、

一個ずつ考えながらやってきました。

 

 

 

 

 [今後の目標]

Q.最後に、これからの目標を教えてください。

 

A.一人一人が満足いく仕事とお金と時間を

 つくれる会社にしたい。

 

お金はないなりに幸せはつくれるだろうけど、

会社としては、

自分らの仕事でちゃんと家族を養えたり

不自由なく生きていけたりする支えになりたい。

 

それが私自身の生活にも返ってくると思う。

 

 


あとは、「自分の生活・くらし」に

向き合えるようにしたい。

 

仕事が楽しすぎて、休みの日は寝てばっか、

とかではなくて、自分の生活にきちんと

私自身が向き合えることが目標です。

 

 

 

 

 

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それぞれのHPはこちらから↓

 

うかぶLLC|UKABU.LLC

Tami Tottori

Y Pub&Hostel TOTTORI

 

 

インタビュアー:佐伯、大國、稲葉

文責:佐伯